- 市川雷蔵が髪の毛を切って坊主になった。といってもこれは島耕二監督の『安珍と清姫』撮影のため。 

 安珍と清姫の悲恋物語は能狂言や歌舞伎でよく知られているが、安珍に市川雷蔵、清姫に若尾文子という異色の顔あわせで、秋の大作をとろうというもの。目下、京都の大映撮影所で撮影がすすんでいる。

 「歌舞伎出身のぼくがこのような作品に出るのはとても意義深い、大いに張り切るよ-」と抱負を語る。

 雷蔵は父寿海から、「道成寺」の演技の忠告をきいたり、和歌山県日高郡道成寺町に天台宗道成寺をロケハンしたり、大変な熱のいれかただ。

 

 
 「どうです・・・イカスでしょう、この頭」 と雷蔵がいえば 「あたしのほうも見てよ」 と意気のあったふたりだ。

 

 
 「坊主頭は『炎上』につづいて二度目。どうも、ぼくは坊主に縁がありすぎるようだな」と青く剃られた頭をつるりとなでる。

 週刊平凡60年7月13日号より