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『ジャン・有馬の襲撃』で出演する伊藤監督

 このほどクランクアップした大映京都撮影所の『ジャン・有馬の襲撃』の大詰シーンで、伊藤大輔監督が代役で出演した。この作品のラストシーン。現地で日本側責任者としてイベリア王国側に捕らえられ、日本につれてこられた小畑三郎兵衛(山村聰)が珠江事件の責を負って割腹する場面がある。

 山村は切腹の前に主君有馬晴信(市川雷蔵)あてに遺言を書くが、このシーンに伊藤監督が山村の代役をするわけ。もちろん肩から下だけしか撮影されないわけだが・・・。

 伊藤監督が出演?となった次第は、同監督が監督仲間でも名うてのコリ屋でまた達筆家だったためだが、同監督が筆を走らせた遺言書の表書きの“下”の字を見たかたわらの助監督連「立派なものだ。さすがは伊藤さんだ」と感嘆の声を出していた。

 

 市川雷蔵主演の大映お盆映画『ジャン・有馬の襲撃』(伊藤大輔監督)は五月中旬にクランクイン以来、はや二ヶ月の長期撮影が続いているが、このほど四百坪のステージいっぱいに水をたたえ、大詰の海戦シーンをカメラにおさめた。

 このプールは第七ステージの周囲にトタンを張りつめた水深七十センチのもの。場面は艤装した軍船数隻がタテやノボリをおしたてイベリア船に接近するところ。折からの濃霧で、イベリア船はこちらの奇襲に気がつかないといういわけだ。

 伊藤監督は例によって大ロングをクレーンでとらえたのち、岸に移動車を敷いて船の上の人の動きをとらえる。ライトマン、助監督らは足のつけ根まである長いゴム靴をはいて水の中を右往左往。空梅雨とはいえ、一時間も水につかりっぱなしのスタッフは「身体にカビがはえそうだ」と冗談をとばしている。

 

『ジャン・有馬の襲撃』の戦闘シーン

(中央)雷蔵、(その左)山村聰