▼十二月三週ともなれば、映画館の入りはますます低調になってくる。こういうときはどんな作品を出しても効果は出てこないものだ。従って、作品の方も平凡なプログラムピクチャアぞろいということになる。

▼邦画で注目されたのは大映伊藤大輔監督の『弁天小僧』で、十三日初日だったが、好調というべきである。巨匠伊藤大輔が一年半ぶりにメガホンを取った映画が、大衆のカッサイを得たことは映画界のためにも喜ばしい。

 日曜、梅田大映が四千人を越え、アシベも四千人に近く、今の時期としてはほめられるべきもので、封切のタイミングがよかったらもっと伸びていただろう。むろん今週のトップである。

 松竹はこのところずっと日曜初日で今週は大船調メロドラマを京都で扱った『花は嘆かず』だが、これは新味に乏しく、日曜のしかも初日で二千人を越えたのはわずかに浪花座一館という寂しさ。これなどは添え物で連続して上映すべきで、三部作同時では吸引力もないし、腹にもたれる。

▼東映『紅鶴屋敷』は割合いよく、ある館では大映を抜いているところもある。東映はシーズンにあまり関係ないのが強味だが、これは東映観客層の年齢が低いからである。

 東宝の『弥次喜多道中双六』は期待に反した成績。春のシーズンにヒットしたものだが、年末向きのものではない。

 日活『危険な年齢』も普通の成績で、結局平凡な週間ということになる。

 実演劇場では北野の「蝶々・雄二の名探偵」が好況で、日曜五千人を入れているが、大劇の「サンタクロース」は不振である。

▼一方洋画の方も大したものはなく、S・Y系は『手錠のままの脱獄』が正月封切になったのでピンチ・ヒッターで『晩鐘』が登場したが、スターバリューがないのでこの宮廷悲恋ものは、見事な三振というところである。『風は知らない』も、日本女性と英国軍人の悲恋ものだが、谷洋子では日本の観客に通じないから、これもあまりよいとはいえないが、見方によってはよく来たともいえる。ともかく松竹座は三千人台を記録した。OSのシネラマはしばらく不振だったが、日曜は三千五百人と好調だった。

(デイリースポーツ  12/18/58 )