定式幕の奥より木が入り幕が開く、流れる清元、シーンとした会場にひびく、暗転、急にパッと照明がつき浮き上った雷蔵さんの姿にあちらこちらからため息がもれる。「待ってました!」。「待っていた?待っていたとはありがてェ!おうかたあいつの事だろう」二人にからまれて踊る雷蔵さん。

 まさに最高潮、あっという間に花道に引っこむ。この興奮のおさまらないうちにフィナーレのサインボールが投げ入れられる。テープも投げられ、雷蔵さんとファンの集いらしい雰囲気のうちに昼の部が終了した。

 夜の部は、四時より開催され、市川監督、品川隆二、市川和子、川上康子、南左斗子。二木多鶴子、立花宮子、清水谷薫、八潮悠子さん方がお見えになり、昼の部同様楽しい一ときをす過しました。

 雷蔵さんはお仕事の関係で、その日の東京発九時の夜行で御帰洛なさいました。東京駅では沢山の会員さんに囲まれ、雷蔵さんがどこにいるのか全然わかりません。それに雷蔵さんは列車がホームを離れ、角をまがる迄楽しそうに手を振っていらしたのが大変印象的でした。その翌日ロケ先で馬から落ち、目の上を怪我したという報告があり、心配しましたが、十日程休まれて今では元気にお仕事をしていらっしゃる事でしょう。

 とにかく、雷蔵さんにとっても会員さんにとっても、楽しい思い出を作る一日であった事は大変嬉しいことと思います。(阿部記)

★花束、花籠提供者は以下のとおりです。

 長谷川一夫、林成年、小野道子、中村錦之助・同賀津雄、寺本圭一

 各後援会は次のとおりです。

 若尾文子、中村錦之助、勝新太郎、若山富三郎、長谷川裕美子、寺本圭一、山本富士子、東千代之介及びゆかり会グループ、大川橋蔵、市川和子、中村玉緒、寿会(大阪、関東支部)中部雷蔵会、平凡、映画ファン、マルベル堂、近代映画(花籠)、明星(花籠)大映株式会社宣伝部(花籠)

 

(よ志哉5号 58年5月26日発行より)