大阪球場で

 春の集いの模様を会報で読ませてもらって、行けなんだ私はうらやましいて仕方ありません。そのかわりというてはなんですが、五月二十五日に大阪球場で、映画人オールスター野球大会を見ました時の事をお知らせします。

 十時に入場式やいうのに、七時前から待ってはった人がぎょうさんいはると聞いて、びっくりしました。三塁側のボックス席で選手ベンチのすぐ上というエエ席を、なんぼ感謝しましたもんですが、もし雷蔵さんが出てはれへんかったらどないしようと、心配で心配で、じいっと座ってられしません。東宝やったか、松竹やったやら、どこから先に誰の順番で出てこられたんやら、何も目に入りませんわ。大映の番、胸の鼓動がお隣さんへ聞こえへんかと思う位。

 いたはりました!涼しそうな縞の背広で、ケガしはったと聞いてますよって、どないやろうと双眼鏡をのぞきましたら、眉の上と目の下に名誉の負傷のあとがかすかに黒々と残っているようでした。それでも元気そうで、えらい暑い日ででしたが、助監督さんですので、一塁コーチに立たれたり、カツヤクなさってました。さぞ日に焼けて勇ましうならはった事ですやろ。

 けどバッターボックスに立たはった時の吾らの雷さんは、三番打者にもかかわらず、見事三振(きっと、バットを振ったところへボールがとんでけえへんかったんですやろ)。ネット裏から声あり、「三番がなくでぇー」。それでも別にばつの悪い様な顔もなさらんと、悠々とにこやかにベンチへ帰ってこられたのには、さすがに吾らの雷さんと嬉しくなりました。