先月二十八日からハワイ、アメリカ本土を新婚旅行中だった大映・市川雷蔵、恭子さん夫妻は、十三日午後六時二十四分羽田着のパン・アメリカン機で帰国した。

 雷蔵夫妻はパラマウント映画会社のスタンバーグ氏に招かれたもので、ハワイ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨーク、ワシントン、ラスベガスを歩いたが、渡米中カリフォルニア州サンタ・モニカ市公会堂で行われたアカデミー賞授賞式を見物して来た。雷蔵はハワイは二度目だが、米本土は初めて。恭子夫人は二回目。

 雷蔵は十四日、多摩川撮影所の『日本一だよ』に特別出演。京都へ戻って十八日ごろから『中山七里』にはいる。

市川雷蔵の話 ニューヨークの滞在中、アカデミー賞授賞式にいかないかとさそわれたので、またとないチャンスと思って見物した。ショーとしてもたいへんにすぐれたもので、感激した。前の席にモレノとチャキリスがいて、彼らの感激ぶりは手にとるようにわかった。衣裳デザイン賞はモデル嬢がその衣裳を着て、ステージに現われるので『用心棒』のはどんな格好でと期待していたら、チャイニーズが日がさをもって登場したのには、腹が立った。ラスベガスはどんなところかと思ったら、まるでつまらんところで、ショーもくだらんかった。ただあんな砂漠の真ん中に、町を立てたアメリカ人には驚いた。(日スポ・東京 04/14/62)

註:第34回アカデミー賞(1962) で『ウエスト・サイド物語』は、作品賞、監督賞、助演男・女優賞、撮影賞、編集賞、作曲賞(ミュージカル)、衣裳デザイン賞(カラー)、美術賞(カラー)、音響賞の10冠に輝いた。尚、ジョージ・チャキリスとリタ・モレノはそれぞれ助演賞を受賞した。

多摩川スタジオに、ズラリ看板スター