岐阜と云えば、昔から、飛騨、美濃の国と云って、平家の落人部落、関ヶ原の合戦等で有名な土地です。十二月三十日岐阜駅についてまず身を切られる様な寒さにびっくり。それもそのはず、遠く望める山々は雪で真っ白。

 十時から開場式のため、大映満鉄会館へ行く。すでに映画館のまわりは花籠で入口までうまってしまう盛況さ・・・。雷蔵さんが出演するのは一回きりですが、これは開場にあたってその方の関係者ばかりの御招待でしたが、理事長のお力により、当後援会会員も御招待の形で、特に入場出来る様になったものです。

 式に続いて、いよいよ「鶴亀」の開幕です。“松バメ”の舞台に美しく舞う雷蔵さんの姿に場内は、一瞬水を打ったような静かさ。過去二回(四月十日御成婚式、八月二日蒲郡中央劇場)踊られた、この「鶴亀」も今回は以前にも増して美しく感じられました。めでたく舞いおさめて幕がおりると、しばらく鳴りやまぬ拍手に、満足感にひたるのも無理からぬ事。

美しきかな雷蔵さんの舞姿

 

王・・・ 市川雷蔵
鶴・・・ 浦路洋子
亀・・・ 中村玉緒

 この日集った会員さんは岐阜、名古屋、奈良、東京と約五十名。劇場近くの“日の丸会館”に会場を移し、雷蔵さんを囲んでの茶話会に入りました。この様な集りには恵まれない地方の事で、会員さんの喜び様は大変なもの・・・。定刻より遅れて会場に姿を見せた雷蔵さんを拍手をもってお迎えいたしました。それに地元出身の宝塚スター、鮎川姉妹も出席され、一段と楽しい集りになりました。

 雷蔵さんは「今日は、又一つ大映の映画館が出来た大変結構な日です。それに、こういうチャンスがないと中々皆様にもお逢い出来ないわけです。幾つかあるグループはこうした集りをやっていらっしゃるでしょうが、今日はいわば、ローカル的な集りなわけですね。いろいろ御意見を聞かせていただければ、後援会の方も、又私の方も大変参考になると思います」とおっしゃいました。そして皆さんが質問をされている間にも出されたケーキを、率先?して食べられ、会場の雰囲気をやわらげていらっしゃいました。

 雷蔵さんとの一問一答の主なものを一寸御紹介いたしましょう。