質問: お正月のお休みは十日あるそうですね。と聞かれると

雷蔵: いや、九日ですよ(笑)

質問: お休みのプランはありますか。

雷蔵: なんにもありません。疲れを休めるんですから・・・。

質問: 大阪の舞台のあとは、おやせになりましたね。

雷蔵: 万病が集まったんでしょう。

質問: 週刊誌などで、結婚の事について、だいぶいろいろ云われていますが・・・。

雷蔵: (我が意を得たりと)そうです。(一段と声をはり上げて)早くした方がなんとか、かんとか云われないと思いますが。

質問: 映画の上でも、私生活の事でも来年(昭和36年)の目標は。

雷蔵: 念願の『好色一代男』だけが決定いたしましたが、今までやった事のない役をやりたいし、現代劇では、なにかオリジナル物をやりたいです。殿様、王朝物、やくざと風俗から来るものもやりたいし、私生活の面ではどうという事はありません。

 これと同じ質問をあとから出席された会員さんがすると、雷蔵さんは「なんや、病気見舞いの様やな」とおっしゃり、「もしもし、これは貴女だけにお話するんですよ」と同じ事を丁寧に答えていらっしゃいました。

 こうして短時間ではありましたが、いろいろとお話が出て中々楽しいものでした。一問一答が終ると会員さんの中から「サインをしていただけますか」のお伺いに、雷蔵さんは出席された会員さん全部に一人一人サインをして差し上げました。会員さんはこの思わぬ贈物に大喜びでした。

   

 雷蔵さんは、その日、夜間撮影があるため京都へお帰りになりました。岐阜駅は出席された会員さん全部がお見送りに行くという事で大変なにぎやかさ。列車が到着する数分間、雷蔵さんが、皆さんの方を見ると皆さんは背中を向けてしまい、雷蔵さんが皆さんの方を見ていないと、雷蔵さんの方を見ているといった、いたってタイミングの悪い風景でしたが、これもファンの心理の表われか。とにかく、反対側のホームに入っていた列車からなんのさわぎか窓から顔また顔。きびしい寒さもこの一角は感じないと云った様子でした。

 1時36分。岐阜駅を発車した第二つばめを見送りながら、どうぞ来年もすばらしいお仕事に恵まれ、それと幸せな一年である様お祈りしたい気持になったのは私だけではなかったと存じます。 

 さて簡単ですが、岐阜での模様をお知らせいたしました。

◎岐阜大映満鉄会館舞台出演に関して、御出席下さいました会員の皆様には、不行届の点はくれぐれもお詫び申し上げます。

(よ志哉21号より)