小児マヒの流行シーズンで救済対策が叫ばれているおりから、ビクターの人気歌手橋幸夫が“鉄の肺”の設備金募集に一役かった、慈善ショー「橋幸夫の夕」が二十七日夜五時、七時半の二回、東京大手町・産経ホールで行なわれた。
これは、小児マヒ救済運動を推進中の日本国際婦人協会(主催者)に橋が無料出演を申し入れ、厚生省、日本ビクター、日本テレビ、日刊スポーツ新聞社の後援で実現したもの。構成演出は花柳啓之で、文字通り橋のワンマン・ショーとなった。
まず橋がおなじみの和服スタイルで登場。“潮来笠” “あれが岬の灯だ” “木曽ぶし三度笠”とヒット曲を歌い、客席からの拍手につつまれる。舞台が進んで、黒紋付きにハカマといういでたちで友情出演の大映・市川雷蔵が登場。橋の歌で“花の白虎隊”の素踊りを披露。林家三平を加えて三人の対談がはずむところで、おりから六月二十七日に世界フライ級選手権戦をひかえたプロ・ボクシングのホープ関光徳選手もかけつけ、橋に花束を贈り、力強く抱負を語る一幕があった。
この間、橋の希望で招待された小児マヒの子供たちもステージに声援を送っていた。なお、このショーの純益により購入された“鉄の肺”は厚生省を通じて、小児マヒ救済機関に贈られる。
註@関光徳:(せきみつのり 1941年1月4日 - 2008年6月6日)は、日本の元プロボクサー。元OBF東洋フェザー級王者。横浜光ボクシングジム初代会長。東京都北区出身。
註A鉄の肺:頭部を除いて体全体を 金属製の気密タンクですっぽりと包み、一定の間隔で空圧を変えることで肺呼吸を助ける装置。重さ350キログラム以上であり、1960年代初めにポリオワクチンが普及して以来、利用者は激減している。
(05/28/61 サンスポ・大阪版)
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