(よ志哉15号より)

★ ファンというのはありがたいもので、合衆国の一州になったここにも私の後援会があり、はじめて後援会の人たちと会ったわけである。みんな揃いの紺のはっぴ白襟に赤字で“市川雷蔵後援会”と書き、背中には大映のマークの入ったのを着て集まってくれた。大半が若い女性なのは日本と同じだし顔も体つきもそうなのだが、ここでは通訳つきの歓談である。

 ところが、ただ一度、後援会の代表の人が日本語で挨拶をしてくれたのだが、これがなんともむつかしい日本語で、不思議に思ってのぞいてみると、ローマ字で書かれたものを読んでいるのだ。おそらく話している一言一言の意味はわからないのだろうが、それも当然のことだろう。日本から留学してきて一年目という女性とも会ったが、この人ですら、話す言葉は片言のような日本語であったのだから。

(「時代映画」60年2月号より 全文はハワイ旅行記で読める)