文化財保護委員会の専門審議会第四分科会(芸能・工芸部門、久保田万太郎会長)は二十三日、重要無形文化財の保持者としてカブキ俳優市川寿海、市川団之助ら芸能関係六人を含む八人を新たに指定することを決めた。正式には二十五日の同保護委員会定例委員会で決定する。カブキ俳優の“人間国宝”はこんどが初めて。また、ワキ役で地味な道をあゆんできた団之助指定は注目される。

 なお、新派では喜多村緑郎氏(30年指定)についで花柳章太郎氏が二人目。芸能関係者は次のとおり。

歌舞伎立ち役 市川寿海(73)=本名太田照造。明治二十七年明治座で初舞台、昭和二十四年三世市川寿海を襲名、江戸歌舞伎の正統の芸風を継いだ名優で、当たり役は実盛、盛綱、直侍など。戦後は関西歌舞伎の重鎮として活躍、二十八年日本芸術院賞を受け、昨年芸術院会員となった。東京生まれ。京都市伏見区深草願成町七。

▽歌舞伎ワキ役 市川団之助(83)=本名羽田久太郎。初舞台は明治十六年京都四条北座、大正八年六世市川団之助を襲名した。七十余年間舞台生活を続け、カタキ役、フケ役など数少ないワキ役陣の第一人者として、枯淡な演技を続けている。吉右衛門劇団所属、京都生まれ、東京都文京区指ケ谷137。

▽新派女形 花柳章太郎(63)

▽宮薗節浄瑠璃 宮薗千之(68)

▽歌舞伎舞踊 花柳寿輔(66)

▽歌舞伎舞踊 藤間勘十郎(39)

 

(日スポ・東京版 03/24/60)

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