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大鵬の故郷、北海道釧路郡弟子屈町は日本でも有名な雪深いところだ。大鵬は冬になると母を想う━元気に暮らしているだろうか・・・毎月二十日の給料日には、着物を買ってくれとお金をおくる。電気せんたく機やコタツもおくったが、つましくて気丈な母のことだから、大事にしまってあるのではないだろうか━その母が深い雪をわけて、兄の幸治さんとともにやってきた。大好物の荒巻さけとすじこをお土産に・・・。 六日の披露で、大鵬は後援会の有力者や角界の実力者から数々の激励をうけたが、なにより母と兄に晴れ姿をみてもらったことが一番うれしかったに違いない。大鵬には横綱への栄誉とともに、一日も早く母を東京によぶことが大切な夢のひとつになっている。 「わたしは弟子屈に住む。幸喜の世話にはならないよ」という母のために、弟子屈にも新居をぜひ今年中に建てたいと大鵬はいっていた。
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