春の京都での授賞式以来の雷蔵さんにお逢いし、短い乍ら楽しいひとときでした。セットの大屋根へ登って行く吉三の姿から、あの野性的な信長の印象は全く消えて、ロングのせいか、屋根の上から此方を見下ろしているするどい目が、とても強く感じられました。信長から比べますと、ずっと小柄に見える吉三が、発散する甘い魅力が広いセットのすみずみ迄うかがわれる様でした。

 そして、二週間後、皇太子様御成婚の日のテレビで、華やかに「鶴亀」を踊られる雷蔵さんを見るとは、余りに思いがけなくて、之は春の集いのさきがけかとも思われました。欲を云えば、素踊りを期待していたのですが、でも王の装いもお祝いの日にふさわしく、気品に充ちたものでした。清元での踊りも、ぱっとつややかなかんじですけれど、矢張り長唄の持つ上品な味は、雷蔵さんにぴったりする様な気が致しますが、如何でしょうか。

 遠い子供の頃、私が此の鶴亀の合の手で、お師匠さんの手を焼かせた事など、ふと思い出し乍ら、此の佳き日が、雷蔵さんの踊りで一層嬉しい日となったのでした。そして、皇太子様につづいて、私達のプリンスも一日も早く、美智子様同様の良き伴侶を得られます様にと願って居ります。

(よ志哉11号 ファンの言葉より)