中里介山の長編小説「大菩薩峠」は、いままで日活が稲垣浩監督、大河内伝次郎で、東映が内田吐夢監督、片岡千恵蔵で映画化、たびごとに超大作として話題になったものだが、こんど大映京都で三隅研次監督、市川雷蔵の机竜之助で映画化の名乗りをあげた。

 かって三隅監督を助監督として使っていた衣笠貞之助監督が、『白子屋駒子』につづいてシナリオを担当するのも話題のひとつ。師弟関係をつくらないシステムの大映にしては、めずらしいケースといえるからだ。以下、うちあわせのため京都へ入った衣笠監督と、三隅監督の師弟対談から━。