藤村志保

1939年1月3日/神奈川県

本名 薄操 どこか中村玉緒に似た雰囲気があるが、玉緒より憂いが濃く、さらに沈んだ女の情念を持つ人である。押さえつけられ、耐えていた情(おもい)が、燃え出す刹那の表現には、一種の凄味すら感じさせる。

その彼女が演じる人生の翳りが射し込むような役柄は、すでにデビュー作「破戒」で市川崑監督によって引き出されいる。「破戒」は、主演の雷蔵が新生面を拓いた野心作であるが、彼女は、雷蔵扮する瀬川丑松の恋人に抜擢され、デビューを飾ったのである。このとき彼女はフェリス女学院を卒業して大映演技研究所に入社したばかりであった。永田社長が名付け親となり、原作者・島崎藤村と丑松の恋人・志保を合わせて、藤村志保と命名したのである。

その後、主に市川雷蔵の相手役として「忍びの者」「新選組始末記」「眠狂四郎勝負」等に出演。虚無の影をひくヒーローにより添う女の哀れさと、ギリギリに追いつめられた愛の濃さを演じたのである。

1962.012.1 びの
1962.04.06 破戒
1962.07.01
1962.08.12 脇差 忠臣蔵
1963.01.03 始末
1963.08.10 びの
1964.01.09 眠狂四郎 勝負
1964.10.17 眠狂四郎
1964.12.30 びの 霧隠才蔵
1965.03.18 親分
1966.02.12 びの 霧隠才蔵
1966.05.03 親分
1966.07.02 殺陣
1966.11.09 眠狂四郎 無頼
1967.01.11 親分
1967.12.30 親分 千両
1969.01.11 眠狂四郎 悪女