渡辺岳夫(1933〜1989)

「交響曲・野人」や多くの映画音楽を手がけた作曲家・渡辺浦人を父に持つ彼は武蔵野音楽大学在学中からジャズ演奏に傾倒、同時に父の映画や放送音楽の仕事のアシスタントを経験した。バリのスコラカントルム音楽院への留学後にテレビプロデューサーを経て作曲家として一本立ちした。以来、「巨人の星」「アタックNo.1」などのアニメーションや「ながい坂」「白い巨塔」などのテレビドラマの音楽で活躍。特に「新選組血風録」(65年)「俺は用心棒」(67年)「あゝ忠臣蔵」(69年)「燃えよ剣」(70年)と連なった東映テレビ時代劇で聴かせた、適度にウェットなメロディとハーモニー進行が同居する流麗な作風は渡辺岳夫節として多くのファンを掴んだ。

映画音楽は既に50年代末から大映京都作品を手がけていたが、本格的なものはテレビで名声を得た60年代後半からであった。大映では「眠狂四郎無頼控・魔性の肌」(67年)を含め「新書忍びの者」(66年)「和歌親分を消せ」(67年)「ひとり狼」(68年)などの雷蔵主演作品を多く手がけた。また藤純子の<緋牡丹博徒シリーズ>(68〜72年)や高倉健の「望郷子守唄」(72年)などの東映仁侠映画も多く手がけ、その主題歌をヒットさせている。また70年代後半に東映京都で牧口雄二監督が連発した異色時代劇群にこの上も無く美しいメロディを書いたのも彼であった。

1989年没。享年55歳。

1966.12.10 新書忍びの者
1967.01.11 若親分を消せ
1967.07.15 眠狂四郎無頼控・魔性の肌
1967.12.30 若親分千両肌
1968.01.13 眠狂四郎女地獄
1968.04.20 ひとり
1969.01.11 眠狂四郎悪女狩り