入江たか子(いりえたかこ)

1911年2月7日/東京・四谷

本名:東坊城英子 文化学院中学部中退。公卿華族、東坊城子爵家の令嬢で、父は宮中御歌所に参候の貴族院議員、長姉は大正天皇の皇后に女官として仕え、宮中一の美女とうたわれたという「血筋」である。一番気の合った三番目の兄が念願かなって、日活京都の俳優になったので、彼女も京都に生き、ささやかな新劇の舞台に立ったのがきっかけで、日活に入社。27年日活映画「けちんぼ長者」でデビューし、その美貌で一世を風靡、“銀幕の麗人”といわれた。「生ける人形」「滝の白糸」(33年)「明治一代女」「白鷺」などに出演。

戦後の53年からは一転して怪談ものに主演し“化け猫女優”の評判をとる。58年に映画界を去り、銀座のバーのマダムなど波乱に富む人生を送る。晩年は、女優である長女若葉の夫が経営するトンカツ屋を手伝うかたわら、TVや大林監督の作品に出演していた。95年1月12日肺炎のため死去。享年83歳だった。

1954.08.25 花の白虎隊