B 大学の友人戸刈(仲代達矢)は足が悪いくせに冷徹な女蕩しで、驟閣の美を批判し、老師の私生活を吾市にあばく。老師を信頼し切っている彼には、少なからぬおどろきだった。

 ところが、信頼する老師の女性関係を知り、反省を求めたことが、逆にひねくれものと罵られ、悄然と故郷に無断で帰ったことから、ますます老師の不興を買う羽目になった。

C 老師の私生活を知った吾市は、反省を求める手段をとったが、逆に不興を買い、老師から“お前をゆくゆくは後継者にしようと思ったが、いまはそういう気持はない”と、断言される。

 しかも、跡目の話もご破算となり、周囲の冷めたさが彼を絶望へ追い込み、すべてが自分の敵と見えた。