祇園の神輿に矢を射込まんとする清盛に、一触即発の叡山の荒法師千人。実はアルバイトで馳せ参じた高校・大学生たちで、この日当、二百五十円也。

 

 1カットの撮影も、カラーのこと。真昼のカンカン照りに加えて強いライトと大きなレフに囲まれ、清盛の雷蔵は汗だく。(日吉神社 山門前)

 

 
 毎日のことだが、一日の撮影が終っても、小道具・衣裳係の仕事はまだまだ。太秦からこのロケ地(滋賀県坂本の日吉神社)までトラックで往復。
 「ロケおわり」の声で、荒法師たちは脱兎のごとく参道の臨時衣裳部屋にかけつけ、法衣をかなぐりすててズボンをはくが早いか、前方に見える日当支払所に、わんさわんさ。

(55年9月25日発行 アサヒグラフ別冊・映画と演劇 秋の特大号より)