御挨拶

 

 爽やかな若葉の風をはらんで五月の鯉のぼりが大空一ぱいに泳いでいます。

 皆さんにはお変わりなく御壮健にお過しの御様子をまのあたりに拝見し大変嬉しく思います。撮影のためとはいえ日頃は御無音に打過ぎ勝手ばかりを致しておりますが、相も変らず御声援、御支援のほど厚く御礼申上げます。

 仕事の方はゴールデン・ウィーク公開の『命を賭ける男』では長谷川先生の幡随院長兵衛と激しくわたり合う水野十郎左衛門を演じておりますが御覧下さいましたでしょうか?続いては森一生先生のメガホンにて『七番目の密使』というスリルとサスペンスに富んだ私には久し振りの作品です。此のあと、山本富士子さんと共演の『蛇性の淫』など大作、力作が目白押しに控えておりますので今後の活躍に御期待下さい。

 何分とも東京の皆さんとはお逢い出来る機会が少なくこの春の集い大変たのしみにしておりました。どうぞ今後共くれぐれもよろしくお願い申し上げます。

           昭和三十三年五月