市川雷蔵

出演作品三十三本相手女優二十人

 長谷川一夫につづき大映時代劇のホープとして活躍している市川雷蔵は、いま撮影中の「万五郎天狗」で三十三本目の出演ということになった。

 昭和二十九年時代劇映画復興の波にのって、北上弥太郎、中村扇雀、坂東鶴之助につづいて関西歌舞伎の舞台から映画に出演。田坂勝彦監督の「花の白虎隊」でデビュー以来、田坂作品に七本、安田公義監督、森一生監督のもとに各五本出演したのを始め、溝口健二監督の「新・平家物語」、衣笠貞之助監督の「月形半平太」「浮舟」、吉村公三郎監督の「大阪物語」、森一生監督の「朱雀門」などは彼の映画スターとしての芸歴に大きなプラスを与えるものとして、その演技の進歩に意味を持つ作品である。

 この三年間の間に、彼の相手女優として選ばれたスターは二十人に余るが、“ガイガコンビ”“おしどりコンビ”といわれる嵯峨三智子とは「美男剣法」「あばれ鳶」「浅太郎鴉」など六本に出演して、数の上では最高。また人気スター山本富士子とは、「花頭巾」「浮舟」など五本に出演しており、最近では近藤美恵子、浦路洋子と共演する事になった。

 なお、共演で彼に恋せし女たちには美空ひばり、長谷川裕見子、浅茅しのぶ、峰幸子、久我美子、香川京子、若尾文子、小野道子、木暮実千代、小町留美子などがある。まだ決まった女房役がないのはさびしいが、若い役にあわてて女房を決める必要がないじゃないかという声もある。

 

私にとって“三”の数字に縁がある

 二十九年の七月、「花の白虎隊」でデビューしてからちょうど三年目を迎えました。目下「万五郎天狗」に出演中ですが、この作品は私の三周年を記念したわけでもないのに、妙に“三”の数字にエンがあります。

 まず、クランク・インが七月三日。共演の女優は小野道子、阿井美千子、浦路洋子の三人でそろって末尾に“子”の字。おまけにともにヅカ出身スター。そのうえ私はこの映画で若様役、着流し、町人姿と衣装を替えること三度です。ちなみに、この作品は私の三十三本目で、森一生監督、本多省三カメラマンとのコンビも三度目。

 すっかりごきげんの私、「三十三は女のヤクだぜ」といえば、三人の女優さん、このところションボリ。