(写真は上加茂神社に勢ぞろいした奄ゥら美川純子、島田竜三、三田登喜子、勝新太郎、浦路洋子、市川雷蔵、阿井美千子、中村玉緒)

   

 「どうも東京のお人は気が早いよって、わてらほんまに苦労しまっさ」と、物柔らかな京都なまりをきかせながら、ようやく腰をあげた大映京都の市川雷蔵、勝新太郎、浦路洋子、美川純子らのきれいどころ。

 東京の各社撮影所が“早いもの勝ち”とばかり、今月そうそうから正月映画の撮影を始めたのに引きずられ「気分が出えへんなあ」とボヤきながらも、思い思いの晴着、羽子板片手に、恒例の年中行事をくりひろげた。

正月用撮影会始まる

☆・・・いざ始めたとなると、そこはみやびやかな京都のこととて衣装、小道具いずれも凝ったものばかり。「そりゃ京は着物の本場ですさかい、ええ加減なもん着されへんやないの」と中村玉緒、あっぱれ京おんなの意心気を語ったが、手にもつ羽子板も「小道具さんから借りたのやあらへん。いずれも由緒ある自前ですよってに」と、ひしめきかけたカメラマンを恐縮させる。

☆・・・場所は京都洛北、上加茂神社の境内。可愛い弧を描いている神橋に並んで、注文に応じてポーズをとったが、神主さんも「まあ、なんと気の早い・・・」と驚いたようす。東京からかけつけた雑誌のカメラマンたちは「やはり京都は落着いていて、正月らしい感じがあふれているね」と、東京とはいささか違ったノンビリした表情で、シャッターを切っていた。

(デイリースポーツ 58年11月20日)