次回作は「大阪物語」

もっと叩いて下さい

市川雷蔵さん・訪問 5分間インタビュー

「あばれ鳶」をあげて、三十二年度カレンダー撮影のため上京した市川雷蔵さんを捕えたので、さっそく五分間インタビューを試みた−

本誌 「8ミリ映画を始めたんだってね」

雷蔵 「じゃかじゃか撮りまくってます。今度の上京にも天然色を撮ろうと思ってフィルムをしこたま仕込んできました。」

本誌 「三十五ミリの方はどうです」

雷蔵 「いまキャノンの新型を買いたいと思っているんですがね。写真は僕のたった一つの道楽なんでかんべんして下さい。」

本誌 「あなたは酒も煙草もやらない堅人で、真面目一方なんだからそれもいいでしょう。次回作は?」

雷蔵 「吉村先生の監督で溝口先生の追悼映画『大阪物語』に決り、十二月そうそうクランクに入ります」

本誌 「どんな映画なの」

雷蔵 「時代劇ですが剣戟映画ではないんですよ。一種の風刺喜劇とでもいいますか。それでいて感じは現代劇なんですね。溝口先生の『新・平家物語』で大変な勉強をしたんで、こんどは味の変った吉村先生にうんと叩いて貰おうと楽しみにしています。いまの若いもんは苦労が足りませんからね。僕なんか甘ったるいところばかりなので、これを克服しないことには伸びませんよ」(大映宣伝部 56年12月1日発行 「大映」NO.7より)