御あいさつ

皆さん今日も又、私達がお互いに元気な顔で、お会いすることが出来て、先づ何よりもよろこび合いたいと思います。

私を愛して下さる皆さんの熱情と、私の心からなる感謝の気持ちを満たすためには、現在のような春と秋の年二度のこうした会合は、七夕さまにくらべればまだ一回分だけ多いとはいえ、あまりに少ないことを痛感しますが、これも又現在の私の仕事の性質上止むを得ないことと諦めなければなりません。

実は今度も、今撮影中の「薄桜記」と「浮かれ三度笠」が、どちらも完成間際の追い込みに入っていて、会社としては半日が一時間でも惜しい最中を、私達のこの会合のために私の身体を空けてくれた好意があったればこそでした。

皆さんにしてもこの日この時のために、都内はおろか、はるばる他府県からいろいろの犠牲を払っていらっしゃった方々も決して少なくないと思います。そうして相会った、この貴重な秋の一日です。たとえ限られた場所、限られた時間内であっても、それを十二分に生かして、思い切り愉しく思い切り、有意義にすごそうではありませんか。私も自分の身体の許す限り、皆さんの御期待に添うように、一生懸命サービスにつとめたいと思っていますから。

そして、この愉しかった今日の会合の雰囲気をお持ち帰りになって、不幸にして今日いろいろな都合で来られなかった方々にも十分お伝え願えれば、これ以上の望みはありません。それでは、この愉しい一刻が皆さんと私の思い出の一頁を美しく、なつかしく飾ることができますように。(集いのパンフレットより)