「いやア、おどろきましてねエ・・・」「まったくなんと申しましょうか・・・」出席者のメンメンはすっかり小西調のペースに捲きこまれて、感心したり、驚いたり。

お正月にちなんだ楽しい初ずくし座談会、ゆっくりミカンでもたべながら読んでいただきましょう。

オール・スタア座談会

△小西節のヒミツ

小西 トニアレ(とにかく)こんな美しい方たちばかりとおしゃべりするのははじめてで、なんと申しましょうか、ちょっと上がってしまいますねェ。

鶴田 いやア、たいしたもんですねェ、小西節の流行というものは・・・(笑)

野添 すごいはやり言葉になっちゃったんですね。

小西 それがおかしいんですね、徳川(夢声)さんに、君はどこの生れかと言われたんですが、どこの生れって、東京にちがいないんだが・・・。

野添 私なんかボーリングに行きますと「どうしてこうも調子がわるいんでしょうかア」なんてやりだすんです。(笑)

寿美 いま楽屋で大変なんですよ。面会なんかに来ますでしょう。すると「マアだめでしょうネエ、どういうもんでしょうかア」(笑)

小西 ふだん言うかね、哲ちゃん。

川上 言わないね、ふだんは・・・。

 しかし、この頃変えられたという街のうわさですけど。

小西 いやァ、別に変えてませんけどね、まアあなたがたの仲間でいえば、寿美さんなんかもでも宝塚口調というものがありますね、なんていいますか、どこか特徴がなければ解説なんか出来ないでしょうねエ。

 あれは日本語じゃないなんていう人もいますが、どうしてアレあみ出したんですか。

小西 フリーの時はそう考えもしなかったんですがア、NHKから給料をもらうようになっていろいろ考えましたねエ。漫画家の文章を読んだりィ、夏目漱石さんのを読んで録音機に入れて見てェ、子供に聞かせてわかるものより、鏡花さんのものが多いかな。短くて漢語を使っている言葉ネ。あれがいいんです。それから、声の悪かった六代目菊五郎のセリフを聞いて考えついたのが、「そうですねエ」という言葉なんです。要するにイ間ですね。

鶴田 「そうですねエ」がはじめてマイクから流れたのはいつですか。

小西 えーと、三十年の四月二十四日でしたねエ、後楽園の巨人、中日戦だったかな。まだ二年になりませんわ。

 是非いつまでもお願いします。

小西 でもネ「ハゲ死んじまえ」とか、ずい分にくまれる商売ですがねェ。(笑)ところで鶴田さん、足はどう?

鶴田 駈足ぐらいは大丈夫です。疾走は出来ませんね。医学的には治ってるというんですが、何だか気持が悪いですね。

小西 足を折ったのははじめてですネ。

鶴田 そうそう折ってちゃたまりませんよ。(笑)

川上 いや、かえって補強されて強くなるんですよ。

小西 じゃア、思いきってエ、もう一本折りますか。(笑)

寿美 フランキーさん頭短かくなさったんですか。

 今、映画で「三等水兵物語」という海軍ものをやってるんですよ。めんどくさいから切っちゃった。

小西 慎太郎刈りというんですか。(笑)

鶴田 フランキー刈りというんです。(笑)