△はじめて投げて五割

小西　これからネ、なるほど、うまく逃げたね、鶴田さん、さっきからずい分タバコを喫っていらっしゃるけど、はじめて吸ったのはいつごろ？

鶴田　十六ぐらいですね。今じゃ、ちょうど一日に八十本くらい喫うんですよ。

小西　わたしと同じくらいだ。わたしはピース一日に一缶くらい。

川上　それは多すぎる。やめたほうがいいですよ。若いうちはいいが、小西さんには毒ですよ。（笑）

小西　先が短いんだからね、タバコやめろとよく言われるんですよ。どうもしかし酒がダメだし、今さら恋愛も出来ないし・・・（笑）。これでタバコやめたらすることがない。（笑）

川上　お坊さんみたいですね。（笑）

小西　お坊さんに似てきたよ、頭の方もだんだん。（笑）川上さんなんかシーズンになるとタバコを中止されるからね、タバコが一番むずかしいかね。

川上　タバコは簡単ですね、今年のシーズンがはじまると、一ヵ月やめたんですが、一ヵ月やめればやめられるんじゃないかな。そしたら大スランプに見舞われて、お前タバコやめたりなんかするから打てないんだ、吸え吸えといわれて吸いだしたら、とたんにホームラン。（笑）

小西　煙をはいてとんでった。（笑）鶴田さんホームランをはじめて打ったのはいつ？

鶴田　軟式ですけど、駒沢の球場でとばしたんです。

小西　それは大きいね。

鶴田　大分打ったんですよ。相手にもよく打たれましたけど。（笑）

小西　何と申しましょうか、ぼくは四十五年野球やってますけど、いまだかって一度もホームランというものを打ったことがないんですよ。（笑）ランニングホームランというものはあるけれど。

堺　ぼくもこの間、そのランニングホームランというものをはじめて打ちました。

川上　どこでですか。

堺　多摩川で、ジャイアンツの・・・。

川上　あそこは深いですよ。三百二十から四百あるんですよ。われわれのいまの練習場になっているとこですか。

堺　そうですか・・・いや、あの・・・（笑）そっちでよろしいんですがね。（笑）もっとも相手がマンガ球団でしたからね（笑）

野添　ポジション（守備）はどこですか。

堺　どこでもいいんですが、とにかくサードですよ。（笑）あぶはち座きっての名選手ということになっています。

川上　やっぱり、これ（太鼓をたたくまね）やってるとリストが強くなるんだ（笑）

小西　いやー全くそのとおりです。夏なんかいいですねエ、いくらあおいでも決して疲れない。（笑）フランキーさんいくら蚊のいるところに行っても大丈夫だよ（笑）雷蔵さん野球は？

雷蔵　ぼくがはじめてやりだしたのは三、四年前ですがね、こうみえても大映京都の監督であり、キャプテンであり・・・。

小西　ピッチャーであり、四番バッター。それでなくちゃ出ないんじゃないの？（笑）ホームランは？

雷蔵　ぼくの打法はフライは、とばないんですよ。ゴロが多いんですよ。

小西　それは有望じゃないの。（笑）

雷蔵　まあーあの球がシンに当った時の気持よさ・・・

野添　野球ってむずかしいですね、なかなか真中へ入らないですね。私この間はじめてやったんですけど、二十回投げて、十回入っただけ。

小西　そりゃーたいしたもんだ、五割だね、鶴田さんのチームでピッチャーやったら。（笑）

雷蔵　ノンプロ球界にはじめての女性投手現わる。（笑）

堺　そのひとみでウインクのサインを送りながらネ。（笑）

小西　いやー、まったく、わたしもながいことアチコチの座談会に出ましたけど、こんな面白い座談会ははじめてですわ。

（平凡57年2月号より）