(写真は対談中の比佐氏と市川雷蔵とやくざに扮した雷蔵)

激励したり・されたり対談

 大映京都の新作『浅太郎鴉』は三隅研次監督でこのほど撮影を開始したが、主演の市川雷蔵にとっては、これが初めての股旅ものである。そこで、撮影前のある日、これも雷蔵ものを初めて手がけた脚本担当の比佐芳武氏がそれを気にして、撮影所に彼を訪ね、いろいろ注意したり激励したりした。

 雷蔵も、映画でやくざものに関しては第一人者といわれる比佐氏の言葉に、いちいち大きくうなずいて考えていたが、その対談の途中、彼から思いがけぬ因縁話がもちだされて、比佐氏を大いに驚かせた・・・。