スターの所得番付

 いよいよ1959年も終りだが、最もこの年に活躍したスターは − といっても、演技面ではなくて、かせぎのほうから、その顔ぶれをピック・アップしてみよう。

 一本あたりの出演料が高くておまけに本数が多いというところでは東映の重役スター片岡千恵蔵がナンバー・ワンだ。だいたい300万といわれる彼は、なんと十三本もある。同じギャラの市川右太衛門は、少し落ちて十本。もうひとりの300万円組、美空ひばりは十二本となっている。

 「しかし、59年のかせぎがしらは伴淳でしょう。彼も300万にそろそろ手がとどくという話だし・・・」と、消息通の某映画評論家が指摘する伴淳は、千恵蔵を上まわって十五本に出演している。この千恵蔵と伴淳を比較した場合、重役手当などを入れると、総トータルにおいてわずかに少ない本数をカバーするだけの収入があり、やはり千恵蔵の方が上と見られる。

 ひばりとほぼ同じクラスの出演料といわれる、女優で最高クラスの京マチ子は九本、淡島千景は八本となっている。

 東宝映画の『暗夜行路』で池部良、淡島千景、山本富士子の三人分として、1500万円のギャラが計上されたと、ひとしきりウワサされて評判となったものだが、この内訳は池部、淡島が300万円、山本だけが大映専属のからだで他社出演だからプラス・アルファがついて450万円といわれた。

 その山本は、若尾文子と並んで180万円が相場で、十二本に顔を見せている。

 伴淳と同格の森繁は、自由劇団を旗上げしたりして、映画の方はおるすになった感じだが、それは見当違いで、十二本ある。

 山本、若尾の150万から200万の間では、市川雷蔵がピカ一で十三本。

 石原裕次郎は十一本、フランキー堺と加東大介がやはり十一本を数える。

 ところが、見のがせないのは、100万から150万円とされているバイプレヤーの一流どころだ。まずはこの脇役スターでいちばん高い月形竜之介は主演・助演を合わせて二十本。

 しかし、上には上があるもので山形勲は二十二本、進藤英太郎の二十本をリードしてにっこりのていだ。

 若手スターでは里見浩太郎が二十本、小林旭、大川橋蔵の十四本などが目立つが、ここいらは100万そこそこなので、収入からいけば、ずっと下になる。

(週刊女性 01/10/60号より)