ぼんちのビート族診断

 ホテルのロビーに帰りついた雷蔵は、完全にグロッキーのていだった。ビートガールにビート(打ちのめす)されたかっこうだ。

 「やっぱり京都の女とはちがうなァ。ショックや。京都の女には計算があるような気がするけど、彼女たちにはそれがないもの。だけど、京都の女にあるシンの強さは、彼女たちには感じられない。

 ぼく自身は彼女たちを、ほんとにうらやましいと思う。人間はやろうと思っても、チセイとキョウヨウがじゃまして、できんことが多いものね。彼女たちは、まず行動して、しかるのちに考える。これも一つの生き方だな。
 でも、もしあのまま大人になればアブないとも思う。社会的にも経済的にも、彼女たちの行動で突き破れない壁の前に立ったとき、どうするんだろう。ぼくが親なら、やはりああいう育て方はしないな。
 とにかく今夜は貴重な人生経験をしたよ。女の子に“オジサン”なんていわれたのははじめてだものね。

 雷蔵ぼんちはこういって、首を振りながら深夜の自室に引きあげていった。