試合開始前 花束を胸にゴキゲンのご両人

 

 

若ノ海ファン

   大関が二所ノ関部屋に入ったの、いつごろですか。

大鵬 十六歳のとき。

    そしたら、まだあのころはいなかったんだなあ。ボクが小学校の一年か二年のときなんですけど、そのころは池袋に住んでたんです。相撲の巡業が家のそばに来て見に行ったら、二所一門なんですよ。

大鵬 どんな人がいた?

     力道山が関脇で、神風もいたなあ。

大鵬 ワシが入るより、だいぶ前のことだよ。

     それが傑作なんです。力道山がけいこで誰か下の方の人につづけて負けちゃったんです。そしたらカンカンに怒って、まだ途中なのに、オートバイに乗って帰っちゃった。(笑)

雷蔵 そのころはまだ、空手チョップは使えないもんな。(笑)

     そのころは、羽黒山、照国なんかが全盛で、ちょっとおくれて吉葉山、千代ノ山、それに鏡里なんか活躍してましたね。

大鵬 ワシより相撲のはなしにくわしいな。(笑)

    ボクの父が、すごく相撲がすきなんですよ。いまは、テレビでばかり見てますけど、以前は毎場所のように国技館へ通ってて、連れて行ってもらったから・・・。

大鵬 こっちは相撲に入るまで本場所なんか見たことない(笑)

     そのころは若ノ海のファンだったんです。まだ下の方だったけど、小さいくせにすごいファイトがあるんですよ。

大鵬 いまでもすごいよ。

橋     仕度部屋まで、サインもらいに行きました。

雷蔵 なんや橋くん、昔ばなしなんかして。(笑)ボクの方が年下みたいな錯角おこすよ。

     おなじ、ヒツジ年なのに。

雷蔵 ひとまわり違うんや。(笑)

     ひとまわりとは十二年。

雷蔵 それをいう。(笑)