☆二人は思春期

雷蔵 橋蔵君は、暇な時は何してる?

橋蔵 こないだ内、将棋をやったり、釣りもやった。

雷蔵 なんか楽しみを考えんとあかんな、ない暇みつけて、そのちょっとの暇に楽しめるものね。

橋蔵 結局、自分の時間がないしね、宿の近くで散歩するとか、映画みるとかさ。

雷蔵 そんなとこだね、時に結婚はどうですか?橋蔵君はやわらかいし、ロマンの香りがするし、もうそろそろ・・・。(笑)

橋蔵 だめだめ、当分、結婚なんて考えない、もっと自分がいろんな意味で安定しなきゃ出来ないよ。

雷蔵 結婚、結婚はってよくきかれるけどね、どうも邪魔くさい。(笑)

橋蔵 お、いいんですか?そんなこといって・・・(笑)あのね、結婚っていいもんらしい。(笑)

雷蔵 そりゃあ、してもおかしくない年頃やしね(笑)親父も年だし、孫の顔もみたいだろう・・・そんなこと考えると早く結婚しなきゃあと思うんだよ、でもね、どうも邪魔くさい(笑)あかんかな、こういういいかた・・・。(笑)

橋蔵 あかんね(笑)

雷蔵 そうやろな、あかんな。(笑)

橋蔵 自分じゃ結婚ってもっと先のことと思ってるけどね、人の結婚を見るとね、ちょっと「結婚してやろか」・・・。(笑)

雷蔵 誘われるんやろ、思春期やから。(笑)

橋蔵 どうもいけないな、雷ちゃんはズバリズバリ、物がいいすぎる。(笑)

雷蔵 性分やから、あきらめといてな。(笑)

橋蔵 雷ちゃんね、恋人出来てもあれじゃないかな。

雷蔵 分ったいわないでも分った。どっからどこまで本気か、自分からよういわんいうのやろ。

橋蔵 案外にね、照れや?(笑)

雷蔵 うん、そうやろ思う、自分ではズバズバものをいうけど、それはテレてるのをかくすためやろ思う。

橋蔵 それはどうかな?僕にはいえんわ。(笑)

雷蔵 コラ、ズルイゾ、少しは僕の味方もせいや(笑)そこへゆくとあんたはちがうな。(笑)

橋蔵 おや、おっかないネ。

雷蔵 おっかないことないわ、ホントのことや、あんたはだまって惚れられちゃいそうだ。(笑)

橋蔵 いやだね、そんなの。(笑)

雷蔵 つまりそれだけ魅力があるということや(笑)がまんしときいな。(笑)

橋蔵 僕の方から惚れたいよ、恋をするならね。

雷蔵 まだ早い、早い。家もみつからんのに、こんな話早いで・・・。(笑)早く宿屋住いを解消することやな。

橋蔵 そうだ、まあそういうことにしとこうよ。(笑)

雷蔵 冗談やない、本当に早く自分の家を探した方がいいよ。

(平凡57年12月号別冊付録「映画ブック」-花形スタア勢ぞろい時代劇まつり-より)