趣味が欲しいな

ぼくはね、先刻もいったようにさ、ボヤッとした時間が欲しいと思ってんだけどね、そういう時間がまあ出
来たとしようか、だめなんだな、部屋の片づけをしてみたり、額をかけ直してみたりね。(笑)どうも落ちつ
いていないんだな。
雷蔵 それはぼくも同じや。(笑)こう見えてもな、エライせっかちやで・・・。始終、何かしてないとアカンのや。(笑)
橋蔵 よく聞かれるだろう、趣味はなんですかってさ、ところが答えたくても無趣味でね、コレクションなんかもこ
れといってないしね、そういう男だよ、ぼくは・・・。
雷蔵 それかてぼくと同じや。(笑)だけどなあ、何か趣味を作らんとアカンな、お互いに・・・。
橋蔵 雷ちゃん、食べ物はどうだったかな?
雷蔵 魚だけのぞいてぼくは何でもええ。えらい無趣味な男でして。
橋蔵 それはぼくも同じさ。(笑)強いていえば肉類が好きだけどね、出されたものをチャンと食べている・・・(笑)
映画に入りたての頃にね、お昼にエビフライが出たんだよ、美味しいねといったらね、毎日エビばかりが
出されてね、半年間とうとう撮影所のお昼はエビばかり。(笑)そういうこともあったよ。つまり、如何に食べ
物に淡白かということさ。

雷蔵 それならぼくもある。(笑)ぼくは夕食はね、かならず家ですることにしてる。いつだったかお腹をこわして
ね、オカユばかり三ヶ月も続けたことがあるンや。(笑)それでなア、いっぺんオカユでスキヤキを食べた
ことあるけどな、ありゃあやっぱりいけません。(笑)スキヤキのご飯はカタイのに限るぜ。(笑)
橋蔵 ハハハ、雷ちゃんはホントにいいなあ、いいなあ。(笑)
雷蔵 また、何をいうてんのか、この男は・・・(笑)
橋蔵 とにかく、ぼくは雷ちゃんの大胆というか、おおらかなとこ、そういう性格が羨ましいよ。