先日、雑誌社の人から、貴方は大分鼻ッ柱が強いと云う話を聞くが、そう云った批評を自分ではどう思うか、と云う様な事を聞かれました。それは、大体、自分の感じた事を率直に述べ、論旨が徹底しない場合は納得が行く迄訊くと云う性質なので、人に依っては鼻ッ柱が強イ様に取れるのかもしれません。併し、私としてはそうする事が相手にも自分に対しても、最も誠実であると存じていますからです。
例えば、近頃の大映の作品は一向に面白くないが、出演者としてどう思うか、と聞かれた場合も躊躇しないで、左の様に自分の意見を述べるのです。
先ず、大映作品の面白くないといわれる理由は、娯楽作品に対する重要視さが足りないのが一つの理由だと思います。これは大映に限らず、他社にもその傾向が見られるのですが、娯楽作品こそ最良の企画、スタッフ、キャストで、しかも製作費を効果的に注ぎ込まなければ、観客の満足を得る事は難しいと思います。『地上最大のショウ』とか、或いは『ノートルダムの僵僂男』などを見ますとつくづくそれを感じます。勿論、これ等は世界市場を対象に撮影されたものなので、比較するのは無理な事でしょうが、娯楽作品にも文芸作品以上の真剣さと努力とを惜しまずに費やさなければならないと思います。
|