平素のお返し

 人一倍後輩の面倒をよくみる代りに、人一倍文句も多い雷蔵さんから、人一倍厄介になっている代りに、人一倍説教もされている本郷功次郎さん。雷蔵さんと見れば何かいわれやしないかと、尻込みするのが常なのに、『釈迦』でこの二人が顔合せする「鹿野苑」のセットでは、本郷さんが珍しく雷蔵さんへ話しかけて来たそうです。

 盲目のクナラ王子になっている雷蔵さんが不思議に思ってそのわけを聞いてみると、「だって、今日は仏陀になったボクが、雷蔵さんに説法するんだもの、こんなユカイなことはありませんよ」

 というわけだが、雷蔵さんもさるもので、「なるほど、聞いたような声だと思っていたが、あれが仏様の声だったのか」

 (美しいクナラ王子とその妻ウシャマ)

 (盲目になっても美しいクナラ王子)