赤くなってはダメ

 長谷川彰子といえば、長谷川一夫さんが目の中に入れても痛くないほど可愛がっている末っ子で、いま中学の三年に在学中だが、小学校のころから雷蔵さんの大ファン。こと雷さんになれば目の色をかえてしゃべりまくるほどだが、たまに京都へ来て憧れの雷蔵さんに逢うと、まるで人が変ったくらいハニカンでしまって、物一ついえなくなってしまう。

 こんど『新源氏物語』に源氏の恋人の一人、六条の御息所の娘秋好の姫になって出演することになり、見違えるばかり大きくなった姿をスタジオに現わしたが、源氏の君の雷蔵さんを見るなり顔を赤くしてモジモジ。

 これを見た雷蔵さん、さすがに気を使って、「彰子ちゃん、今度は同じセットで共演しなくちゃならないんだけど、そんなに赤くなったら、カラー映画だからすぐに映っちゃいますよ」といえば、

 彰子ちゃんますます顔が赤くなる一方。私と同じだわなんておっしゃっている方はどなたです。