新選組始末記の抱負を語る

 新選組を扱った映画は少なくないが、映画化されるのはテレビ、舞台とは別に子母澤寛の原作から新たに出発したもので、芹澤鴨暗殺から池田屋事件までを克明に、そして忠実に描かれる。雷蔵さんの山崎烝は、武士というものを純粋な形であこがれ求める理想家肌の青年。

雷蔵さんの話、

 「幕末物によくあるように、主要人物が国家を論じたり、主義主張で行動するのでなく、青年らしい純粋さで、ただ自分個人が生きるために自分の意思で動いているところに新しい魅力を感じた。近藤も土方も山崎も、それぞれの生き方があるが、、武士が武士らしくない時代に、自分が武士らしく生きるための、いろいろ異なった考え方がからまり合って、一つのストーリーを作っている。すなわち、これまでの幕末物では大きなもののために、人物がカイライ的に動かされていた形だったのが、今度はそれぞれの人物の考え方が、自分中心にハッキリ出ているところに特徴がある。私としては、この映画に描かれている山崎は勿論、近藤も土方も好きで、もし出来れば一人三役くらいはやりたいくらいに、この作品に惚れ込んでいる。」