歌舞伎復帰と結婚?
ウワサの市川雷蔵にきく


意中の人はいない 大映とは二年間の再契約


結婚話をかくすのは古いと思う

 結婚説の方はね・・・。こいつあ今年の抱負で、ある新聞に、相手があれば当方はいつでも結婚する用意があるといったんです。ちょっと薬がききすぎちゃったんですよ。実はね、昔は俳優が結婚すると人気が落ちるってよくいわれたものでしょう。それに対するレジスタンスを試みたわけです。僕はね、職業上のことから世評を気にして結婚をためらったり、信じ合っているのにひたかくしにかくすなんていうのは古いと思うんです。

 僕は後援会の人たちにもよくいうんです。僕もいいお嫁さんと結婚するから、あなた方もいい相手をみつけて結婚して下さい。そして何年か先になっても、お互い妻子や、夫をともなって話し合うようにしたいってね。

 どういう女性がいいかって?それはいちがいにいえない。会った時の瞬間的好感から出発して、あうたびごとに相手のよさがわかってきて、ついにはお互いの心が合致して結婚に入るということでしょうか。この間、友人の結婚式にいったんですが、その時、知人によき妻ってどういうんだろうかって聞いたんですよ。その人は“朝は天女の如く、夜は悪魔の如く”っていいました。僕もそうだろうと思いますね。とにかく、現在の僕には残念ながらこれはと思う人はいないんです。が・・・ですよ、これはという人があれば、いつでも受けて立つ態勢はできていますよ。

現代劇でも成功できる自信がある

 映画俳優というものは、自分でこういうものをこう演りたいと願ってもなかなか思い通りにいかないんです。使われている立場ですからね。結局は会社の企画と監督のセンスに左右されてしまうんです。僕なんかはその点、一般の人よりはある程度めぐまれた立場ですから、多少の意見も通りますが、要は会社の企画に対して自分をいかに一致させて、生かしていくかということが大切です。

 僕は『忠臣蔵』以後『旅は気まぐれ風まかせ』『命を賭ける男』『七番目の密使』などで、それぞれ三様の柄を見せているつもりなんです。従来の時代劇になかった感じもだしているつもりです。会社でも最近では新しいものを打ち出そうとしているし、僕自身もそういう気持ちでいっぱいです。

 目下、現代劇出演の話もあるにはあります。会社の一部の人は素顔と時代劇の顔があまり違うから、時代劇ファンのイメージをこわす恐れがあるといって、現代劇出演を危険視する向きがあるんです。僕はそう思わないんです。むしろ顔が違えば、かえってユニークな質が発見でき、ニューフェイスと同じことになると思うんです。これを見破る監督がほしいです。現代劇でも必ず成功する自信があるんですが・・・ね。