気さくなボンボン雷蔵さん

雷蔵さん、梅若さんと俳優部の前で会いました

刀を合わせて、ちょっといい気持の蝶々さん。

上の写真の「関係者以外は・・・」の掲示板を、よくごらんください。

 こんどは大映さんへ参りましょう。ここは春の大作『忠臣蔵』の撮影で大ワラワ。なにしろ、オンタイ長谷川一夫さんをはじめ、東西撮影所のオールスタア・キャストという豪華版ですから、文字通り全社を挙げての仕事です。それでいてなんとなくシーンとしているのは、社風というもんかも知らんとおもいますなあ。オットリした老舗のお店(たな)、それが大映さんの感じやといえますワ。

 俳優部の入口で、雷蔵さん、梅若さんにバッタリ。

「オヤ、しばらく」

 雷蔵ボンボンは、気取りのない、ホンマにすっきりした若旦那でっせ。

「この背の高いのが、赤胴の梅若クンです」

 なるほど大きい。背のハナシはあんまりしとうないけど、並ぶと梅若さんの胸のあたりにきます。ナサケないこっちゃ。雷蔵さんのズラが、いつもと容子がちがうと思うてきくと、

「こんどは、グッと三枚目でいきます。教えてください、三枚目のコツを・・・」

 『旅はきまぐれ風まかせ』という、コミカル(喜劇的)な時代劇に、根上淳さんと共演で、かけ出しのヤクザをやるということです。ほんとうは二枚目の雷蔵さんが三名目の役までうまくなりはったら、本職のこっちは脅威というもんや。

「雄さん、こっちもマケンと勉強しような・・・」

 それはそうと忠臣蔵は?と聞いたら、浅野内匠頭になった雷蔵さんは、もう切腹も終ったそうで、内匠頭変じて、カケ出しヤクザの源太というシマツ。変れば変るもんですねえ。

 梅若さんは、まだ討入り前の四十七士で矢頭右衛門七の役。義士の中でも最年少の右衛門七の役だけに、梅若さんにはピッタリです。前髪姿がホンマ可愛らしい。それにしてはちょっと背が高すぎるけど・・・。どうも背にこだわってスンマヘン。

「ファンレターも多いでしょうね?」

「結婚の申込みには困っちゃいます」

 ソラそうや、まだ早いワ。さて、もう一軒、松竹さんへ参るつもりでしたが、この日はあいにく、撮影がおやすみで松竹ファンの人にはすんませんけど、カンニンしとくれやっしゃ。この次はきっとご報告させてもらいます。

 どうやらチャンバラの街、太秦のご案内も終りです。

「どうや雄さん、うちへ帰ったら、久しぶりにチャンバラやるか」

「やめとこう。夫婦ゲンカは・・・」