去る八月のはじめ、九州の福岡大映のご挨拶のため、はるばる博多へやってきた市川雷蔵と山本富士子のお二人が、有名な博多人形の人形師さんを訪れました。

 博多人形はその昔、[慶長年間]領主黒田長政が舞鶴城を築城したとき、正木宗吉という瓦製造者が、瓦の原料である粘土を使って人形を作って、領主に献上したのがはじめといわれています。

 浮世絵からそのままぬけ出したような山本さんの美しさに「何と、よかオナゴですタイ」と人形師さんは目をパチクリ。早速、山本さんをモデルに人形をつくりはじめれば、雷蔵さんもお弟子さんよろしく、デッサンの筆を走らせます。