本当に良い人間 結髪 林 昌史

 雷ちゃんは、遠くから見ると、何んか、とっつきにくい、冷たい感じがする人ですが、触れ合って見ると、本当に良い人間です。

 僕は、雷ちゃんのデビュー作品の『花の白虎隊』からつきあってますが、仕事の面でも実に研究心の強い熱心な方です。かつらでもここをこうしてくれとか、いろんな注文を出しますし、また、一回使ったかつらは絶対二度と使いません。一回使うごとに、何んか工夫するわけなんです。ずいぶんいろんな注文を出しますけど、一旦こちらにまかせると、後の細かいことは言いません。で、こっちもまかされると、余計張りきって一生懸命になるわけです。

 雷ちゃんは、何んか腹の立つことがあると人をかきむしったり、首をしめたりするくせがあるんです。それで、パッーとまぎらして、さっぱりするんですね。僕も腕をかきむしられて、傷だらけです。でも、これが別の人だったら、どつき返してやるところなんですが、雷ちゃんは、そういう気は全然起りません。不思議なもんです。ロケなどに行って、寒いとき、雷ちゃんが水に飛びこまんならんというときは、僕はいつでも代りに飛びこみますよ。

 また雷ちゃんは、腕白小僧的な一面があるんです。ロケなどに行って、宿で食事をしているときなど、一人早く飯を食べて、僕たちの食べてる傍で、何を食ってるのやとか、例えば皆がノリを食べると、こいつだけは食わしたらあかんとか言って見たり、それを無理に食べると、首をしめて、食べたものを出させようとしたり、いたずらが好きなんです。でも腹が立ったことは一度もありません。なんと言うか、僕は雷ちゃんを慕うてると言ってもいいかも知れません。

 このごろよく、週刊誌などで、スターの女の問題とかが、よくのるでしょう。これが外の俳優さんなら、くわしいことは知らないんだし、そうかなと思うこともありますよ。でも、こと雷ちゃんに関して、もしそういう記事がのったとしたら、僕は即座に嘘だと言い切れます。もちろん、僕が雷ちゃんの私生活の全部を知っているわけではないけど、雷ちゃんという人間を知ってるつもりです。だから、そんなことは嘘だと言い切れるんです。

 雷ちゃんは、腕白で、いたづら好きな一面一人で考えることが好きなようです。夜の町にみんなと呑みに行くなんてにぎやかなことが嫌いで、体のあいたときんは、よく、苔寺など、寺をまわったりする一面があるんです。雷ちゃんは本当に良い人間です。これは、何べん言ってもいいことです。