演技派モダンボーイ

 インダビュウや対談などで、ユーモアと風刺のウイットから、質問をはぐらかして、相手をビックリさせたり、あわてさせたりするのは有名である。これは物にこだわらない性格の一種のユーモア的センスとして味わいの深い人柄を伝えるものである。さらに機智に富んでいる木で鼻をかんだような応対ぶりというものは、梨園の出である一つのプライドが、その意識しないどこかでキラキラしていてそれが出て来る。電話などの応答にも、それが特別な場合でない限りに於て、決してむやみな敬語やおべんちゃら的な表現は採らない。

 雷蔵さんも錦之助さんも同格のモダンボーイなのである。彼が演技派であることは、ブルーリボンの男優賞をもらう迄もなく、既に認められていたことである。そういう大映画芸術へ出演して、四つに組むもう一方では、新しい時代劇とも言える、劇中人物の人間臭いやくざものや、笑いとギャグに富んだ、新形式の股旅ものなどで結構若々しい青年雷蔵の菅を扮装の中で見せてくれる。やはり、雷蔵さんがモダンボーイであることによると考えて差支えない。

 新しい時代劇の分野を開拓しつつある監督で、東映に沢島忠氏がある。大映では『お嬢吉三』で江戸時代の庶民生活を、新しい解釈で打ちだそうと試みた田中徳三監督が居る。『ジャン有馬の襲撃』に次ぐ雷蔵さんの新作『濡れ髪三度笠』は、同じく田中監督の新鮮な意欲によってクランク中だ。若いファンは、むずかしい大時代劇の鑑賞よりも、はるかにギャグに富み、現代的な人情感覚でついてゆけるこうした作品に期待をもっていいと考えたい。