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時代と共に変遷してきたヒーロー像、あるいは気品と淑やかさを持ち合わせていた女優たち。大衆は何に憧れ、何を求めてきたのか。直木賞作家であり大の映画通である著者が、魅力あふれる銀幕スターを軸に厳選した名画100本を紹介する。おさと、
◆第１章 戦後のスーパスターを観るための極め付き35本 三船敏郎、石原裕次郎、小林旭、高倉健、鶴田浩二、菅原文太、森繁久彌、加山雄三、植木等、勝新太郎、市川雷蔵、渥美清達の魅力と出演作の見所など。
原節子、田中絹代、高峰秀子、山本富士子、久我美子、京マチ子、三原葉子、藤純子、宮下順子、松阪慶子、浅丘ルリコ、吉永小百合、岸恵子、有馬稲子、佐久間良子、夏目雅子、若尾文子etc達の魅力と出演作のエピソードと見所。 新劇出身の名優たち。森雅之、宇野重吉、杉村春子、伊藤雄之助、小沢栄太郎、小沢昭一、殿山泰司、木村功、岡田英次、佐藤慶etc |
| 長部 日出雄 1934(昭和9)年青森県弘前市生まれ。週刊誌ライター、映画批評家を経て作家となる。直木賞、芸術選奨、大佛次郎賞を受賞。89年に初監督の映画『夢の祭り』を完成 |
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エロとグロ、悪の魅力 - 座頭市の勝、眠狂四郎の雷蔵
| どんな時代でも、大衆が惹かれるものには、荒唐無稽や非合理のほかに、悪の魅力、ユーモラスな悪漢が主人公のピカレスク、ニヒリズム、エロチシズムなどがある。
６０年代にそれらをもっともよく表現していたのは、勝新太郎の“座頭市” “悪名”シリーズ、市川雷蔵の“眠狂四郎”シリーズなどの大映娯楽映画であった。 計２６作のシリーズ第一作で、６２年に封切られた『座頭市物語』（三隅研次監督）は、下母沢寛の随筆のなかのほんの僅かな記述をヒントにして生まれたといわれるが、それに先立つ『不知火検校』（６０年）で勝新太郎が演じた盲目の悪役が原型であったというのも、ほぼ定説になっている。 宇野信夫の舞台劇を森一生監督が演出した『不知火検校』は、悪行を重ねつつ出世して行く鍼医者・徳の市の物語で、それまでもっぱら白塗りの二枚目を演じていた勝は、この悪役で圧倒的な魅力と演技力を発揮して、大スターになるきっかけをつかんだ。 “座頭市”に先立って、第一作が６１年に公開された『悪名』（今東光原作、田中徳三監督）は、古い任侠道を守ろうとする河内生まれのヤクザ朝吉の気っ風のよさと、方言を生かした独特の台詞回しが、大衆の好みに投じて、計１６本におよぶヒット・シリーズとなった。勝新太郎とコンビを組んだ田宮二郎の好演も忘れることができない。 |
