ハワイの人は時代劇ファン

十二月三十一日

ファンクラブの人たちと記者会見の昼食会に招かれる。ボクもハワイ流に、赤の上着に黒のタキシードに身を固めて出席、盛んな歓迎を受けた。ハワイでは日系の人たちだけでなく一般米人も、日本の時代劇が大好きなんだそうだ。

ちょうど、ボクの「浮かれ三度笠」がホノルルで上映されていて、ときどきセリフに英語の入るのが大受けで「オーッ」などと歓声があがるのだそうだ。日系米人でも、四世五世となると日本語はほとんどわからないが、そういう若い人たちも時代劇は大いに楽しまれていて、大変心強く感じた。

心強いといえば、ここの『ハワイ報知』という新聞の人気スタア・ベストテンに、女優ではおフジさん(山本富士子さん)男優でボクが一位に選ばれたのもうれしい。

ところで、この日は日本でいえば大晦日なのだが、日本のそれとは違って、底抜けに明るく楽しい。昼間から威勢よく花火が鳴り、五色玉がはじけ、何千という人が歌い、踊る。この騒ぎが夜まで続いて、いよいよ元旦を迎える十二時近くになると最高潮に達する。

人々は純白のタキシードを着て街中で『蛍の光』を奏で歌う。そして十二時になった途端、また盛んな爆竹、花火。広場に集まった人々はお互いが知っていようがいまいが、おかまいなく会う人ごとに「ハッピー・ニュー・イヤー」といいあう。

もうその頃は、ホノルルの街は花火の煙でいっぱいになってしまう。こうして元旦の朝、四時ごろまで楽しく新年を祝うのだ。

なるほど、こういう年の迎え方もあるのかと驚いてしまう。ボクも一時過ぎまで、同行の福山、松岡の両氏やファンのみなさんとともに楽しく過ごした。