現代女性の結婚の条件

雷蔵: こういうことを聞いたんですよ。なんでも“人口問題研究所”とかいうところで、都会の女性にアンケートを出して“結婚の条件”について統計をとったんだそうですよ。その中で、現代女性がいちばん重大に考えている条件は、なんだと思います?

ペギー: さア・・・旦那さんの収入か。それとも−。

雷蔵: 僕は収入がたくさんある男というんじゃないかと想像したんですね、ところがこれがちがうんですよ。

ペギー: どんな順位なんですか?

雷蔵: それがね、一位は親とか兄弟とか、係累がいないこと、つまり同居していないことなんですね。

ペギー: 二人っきりの生活というわけ。

雷蔵: ・・・二位が、趣味と性格、つまり相性がぴったりすることなんですね。顔立ちがいいというのが、三位だったかな。それから四位が都会生活・・・田舎の農村の次男坊、三男坊なんていうのはいやだというんですね。それから五位が、旦那さんはやっぱり年齢が上のほうがいい・・・。六位が学歴で、大学出身という条件。七位が健康だということ。八位になってやっと収入のことが出てくるんですよ。それから、童貞であって欲しいというのが九位で、十位が血統とか家柄とかいうことで、これが最下位なんですね。・・・ペギーさんは、ご意見はいかがですか。

ペギー: 私はずいぶん異論があるな、そういうことは。

雷蔵: たとえば、どんなふうに・・・。

ペギー: 下位になっちゃってる、お金と健康のこと、私はやっぱりそれが大事だと思うんですけれどね。

雷蔵: もっとも、このアンケートが絶対とはいえないと思うんですがね。

ペギー: それにしても、財産が八番目というのはおかしいわ。

雷蔵: そう、逆じゃないかな。人間というのはやはり金。そして金があれば地位とか名誉とかいうものが欲しくなる。それはどんな人間でもそうなりますよ。

ペギー: たっとえば、夫婦のあいだでトラブルがおこった場合でも、旦那さまが機嫌とりに、欲しがってた着物や服を作ってくれたりすると、クルッと直っちゃうことがあるもの、女のひとというのは・・・

雷蔵: 若いひとは、愛情さえあれば大丈夫だとかいいたがるけれども、案外、お金がないことからトラブルをおこしやすいんですね。

ペギー: 私自身、はたらいて自活していますけれど、もし結婚するとなったら、相手はチャンと収入のある人がやはりいいわ。でも、そんなことをいいながら、案外、貧乏なひちを好きになって、手ナベ下げてもいっちゃうかも知れないけど、現在の理想からいえば、私の収入とバランスのとれるひとを相手に考えたくなっちゃう・・・(真面目な顔をして・・・)

雷蔵: それとも、収入にかわる偉大な芸術家かな。ぜんぜん収入はないけれども、自分の芸術のために心魂をうち込んでいる・・・それから、そのために自分がはたらいても、将来の夢がある。つまり優良な成長株というような・・・

ペギー: いやな言葉だけれど、そうね。