惚れるということ

雷蔵: ・・・俗に見惚れ、気惚れ、底惚れということを、花柳界あたりじゃいうんだそうですが、底惚れは別として、ペギーさん、どうですか?

ペギー: 見惚れはあるわね。

雷蔵: 気惚れだってあるでしょう。

ペギー: 気惚れだってありますよね。(笑)・・・なにかしら、ジーンときちゃう瞬間にパッとかんじちゃうのと−それから、ジワジワと交際しているあいだに好きになってくる人があるんじゃありませんか。瞬間にパッとすきんなっちゃってどうしようもなく忘れられない人と、ジワジワ好きになる人と、二つの型がありますね。私の場合、いままでの経験によりますとね。・・・(笑)

雷蔵: どういうタイプの男性が好きになっちゃうのかな。

ペギー: 私?・・・私はお兄さんみたいな男のひとにはヨワいんですよ。

雷蔵: 自分のお兄さんに似ている人という意味で・・・

ペギー: ええ、私はお兄さんはいないんですけれど、自分の心にお兄さんのイメージを作っているんですよ。そのお兄さんは、とってもやさしくて、私のいうことをなんでもウンウンと聞いてくれて、理想的なお兄さん。どっちかといえば父に近いわね、感じとして。

雷蔵: そういう感じの人があらわれると、いきなりパッときちゃう・・・

ペギー: 好きになる段階としては、かならずそれがあるんですね。だから、やさしくされたとか、ちょっとしたことで馬鹿みたいにカッと好きになっちゃうんです。

雷蔵: ・・・真綿でやさしく包まれるというところかな。でも、逆に、つっけんどんに扱われて、グッとくるような男は・・・

ペギー: つっけんどんといっても、むずかしいな。言葉じゃポンポンといっても、なんか心に触れることをパッというような男性にはヨワいわね。たとえば、お前の歌なんかぜんぜん下手じゃないかというような、すごい悪口を平気でヌケヌケといいながら、私のヨワいとこをちゃんと知ってて、そこを突いてくる・・・。これにはヨワいんですよ、表現するのがむずかしいけれど。

雷蔵: ・・・いや、これはどうしてなかなかおくわしい。(笑)