浦路 股旅物では背景としての自然の風物が大きな要素になっていますものね。

雷蔵 僕も主演作品は、もう相当な本数になっているが、股旅物は三、四本しかないんだ。やくざのせりふは七五調になっており、あまりメリハリを利かすと大時代になるし−、やくざの生活というか、リアリティを出すのに苦心してるんだが・・・。

浦路 この間の『二十九人の喧嘩状』の仁吉は、評判よかったですね。

雷蔵 とに角、これは『弥太郎笠』の決定版というやつだ。僕らには荷が重いが、互いにはげましあって一生けんめいにやろうよ。

浦路 私もやります。雷蔵さんよく教えて下さいね。

(57年6月20日発行 大映No.12)