●やりにくい「内匠頭」
こんどの『忠臣蔵』での浅野内匠頭については
「先輩がすでに幾度もおやりになっているものだけに、観客にもイメージがあり、私としては大へんに演りにくい感じがする」のだそうだ。
去年の夏頃、雷蔵の歌舞伎復帰が噂にのぼっていたが
「映画に入ったからといって永久に舞台をすてたわけだはありません。ただ映画を本業とし、これに専念するために舞台を遠ざかっていたというわけ機会さえあれば舞台にも立ちたい」という希望をもっているのだそうだが
ただ忙しい映画スケジュールを縫って、いかにして時間を見つけるかに頭を痛めているのだという。こうした口ウラから想像しても、ことしは久方ぶりに雷蔵の舞台姿がみられそうだ。
●家庭的な人がよい
最後にズバリ恋愛はと聞いてみた。
「そりゃアありますよ。あるけど回数はノーコメント、それより一歩すすんで、ことしは三年間にわたる不自由な独身生活を清算して結婚したいと思っているですよ」という。
相手は「これから探す」のだから「実現するかどうか自分にもわからない」が「なるべく美しい人にこしたことはないが、それより家庭的な人」を希望だそうだ。そして
「子供はニ、三人ほしいですよ」と笑っている。
(「寿会会報No.8」58年3月発行より)