千代之介 この間扇ちゃんが、ネクタイの気に入ったのあったら、それに洋服合せて作るんだなんていってたけど、ぼくはそういうことは、あまり構わない方なんです。今しているこのネクタイなんかも人にもらったものです。家の人が買って来てくれた中で気に入ったのがあればしめるんですが・・・。

橋蔵 ぼくは妙なたちでね気に入ったらそればかりしめている。あんまり毎日使うので結び目がすりきれちゃうんです。柄は小紋がいいですね。

大川橋蔵さん

本名 丹羽重成 昭和4・4・9生まれ。東映作品「笛吹若武者」にデビュー。最近作「魔の死美人屋敷」

千代之介 ぼくはエンジ系統の細い柄が好きです。

橋蔵 いつだったか、銀座を歩いていたら、ぼくのネクタイと同じ布の洋服をきた女性と会ってから、好きだったそのネクタイ、しめるの止めちゃった。

雷蔵 なぜや。

橋蔵 なんか気まりの悪いもんじゃないですか、同じ柄がぶつかるなんて・・・お互いにジロジロみて・・・君は平気ですか?

雷蔵 そらあかん。やはり誰も持ってないと思って方が、優越感があってよろし。それにぼくは洋服が地味だからプリント・タイのすっきりしたのがよろしいな。

千代之介 ぼくは三四十本くらいかな・・・ネクタイは。

雷蔵 百本はあるやろか。

橋蔵 ぼくもそのくらい。

千代之介 雷蔵さんは今日スポーツシャツだからノーネクタイだけど、いつもネクタイのしめ方は気にする方?ぼくは無頓着というか、簡単に結んじゃうな。

雷蔵 ちと曲がっとるわ東さん。(一同笑声)

(千代さん頭をかいて結びなおしました)

雷蔵 ぼくもあまり気にせえへん。橋蔵さんは凝り性やから大へんなもんや。なにしろ中折れ(ソフト)かぶって歩いとるもんときどき。

千代之介 中折れ(ソフト)かぶるの橋蔵さん?

橋蔵 しょっちゅうはかぶりません。前にかぶったことがあったというくらいです。

千代之介 ひところ、終戦直後には、みんなよくかぶっていたけど、本当に、この頃かぶっている人がすくなくなったね。

雷蔵 かぶっていないのは、はげていないという証拠や。頭に毛の生えている証拠や。(笑声)

橋蔵 なるほど、そういうことになりますね(笑声)