−好きな言葉

 一休禅師の言葉ですが、「成せば成る成さねば成らぬ何ごとも、成らぬは人の成さぬなりけり」。この言葉が僕としては好きやね。

−マカロニ・ウエスタンは好きか

 全体的な傾向からいくとあまり好きでないな。視覚的であるという点では感心するけど。

−スーパーマンを肯定するか否定するか

 スーパーマンという言葉で片づければそうなるが、それぞれ生き方、表現の仕方でいろいろ変わるから、そういやだとは思わない。

 映画は娯楽だから、お客が主人公に夢を託するのがいい。理に落ちた非情な人間よりも、主人公の全体的性格からいうスーパーマン的人物のほうが、やはり親しみがもてる。挫折する人間を描いても、それだけで発展がない。

 日本映画の場合は芸術作品と娯楽作品との差がはっきりしている。これは会社首脳部の考え方によるんだが、娯楽というと、お客をバカにしたようなところが欠陥だと思う。これが芸術だといいながら、ひとりよがりの映画を作るほうがずっと作りやすいと思うな。

 僕のやった「鞍馬天狗」は、過去のネーム・バリューにとらわれている。全然工夫をしない。これが結局、失敗した原因だな。

 外国なんかの例をとっても、再映画化の場合は思い切って変えている。ところが日本の場合は冒険する意欲がない。いままで見たものに基づいて批判し、発言するからいいものが出来ないんだ。

−相手役にはどういう人がいいと思うか

 演技上は大胆な人のほうがやりいい。映画の演技はデリケートに変化すものだからね。そうですね、比較的共演の多かったのはおフジさん、嵯峨クンらだね。おフジさんなんか惜しかったですね。