大映のホープ

その飾らない素朴さと、誠実な人間味が、地味ながら着々と人気を獲得して、今や大映京都にあって、若手時代劇のホープとなった市川雷蔵さんは、もう御存知のように、関西梨園の総帥、市川寿海さんの御曹司です。

近作「次男坊判官」では、江戸ッ子の名奉行、遠山金四郎に扮して、刺青姿も勇ましくサッソウとしたところを見せていましたが、一日、その京都のお家を訪ねますと、これはまた、スクリーンでの印象とはガラリと反対に、近代的なハンサム・ボーイであるのに驚かされました。

趣味はキャメラで、御覧のように、今流行のキャノンが御愛用。105ミリのニッコールの望遠もありますし仲々どうしての凝りかたです。

「京都は撮る場所がたくさんあるんで・・・」

キャメラをいじっている時の雷蔵さんはニコニコとご気嫌さんです。でもスクリーンの時と変らないのはその誠実な人間味です。好漢の今年の活躍こそ大いに期待されます。(映画ファン55年6月号より)